バネに強度と形状安定をもたせる工程

heat treatment

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バネの熱処理/目的と方法

冷間成形による製造後の残留ひずみの除去、弾性限の上昇、耐久性、疲労強度の改善と形状の安定化が目的で材質、材料径、その他の条件により専用設備にて数百度で一定時間行なわれる工程、残留ひずみとは成形のあとに材料が元の形に戻ろうとして内部におこるちからでこれが残っているとへたりや破損が起こりやすくなってしまいます。以前は焼き入れ(加熱後急冷して硬化)を常温で白い固形の金属処理剤を使ってしていましたが現在は、むずかしく言うと低温焼鈍(ていおんしょうとん)、又はテンパー処理と言い専用の電気炉(テンパー炉)で行なわれるようになり管理がとてもしやすくなりました。その形での安定化と弾性限の上昇を見込みへたり難くなり従って圧縮、引っ張り、ねじりという力を加え作動しても元に戻ろうとする力が発揮、優れる製品となります。コイル状(螺旋)の加工品は行わなくても元形に戻る事はある程度のたわみ量で可能ですがバネの耐久性、作動限界範囲が熱処理を行うと著しく違う為、優れる製品を製造する際の重要な工程、更に強度、寸法、形状に変化が表われて材質によっては全く逆方向に変わるという現象(材料の性質)を考慮して製作者は加工しなくてはなりません、後に詳しく解説をしてますが、例えばコイル径が8ミリの図面指定の時、最初から8ミリを狙わず材質別や太さにより指定されたバネの前後の寸法、つまり熱処理後に径が8ミリになる様に指定寸法の前後で先ずは成形します、同時に全長も変わることがあって長さも考慮。

冷間成形加工とは特別な状況下での方法で無く極普通の常温状態で行なわれる主に中小型品のバネの成型方法で低温焼鈍は、ほぼ必須の工程
一方大型の加工方法は、当然扱う材料が太く(およそ15ミリ以上)は弾性(反発力)が相当強くそのままでのコイリングが非常に難しく材料を真っ赤に成るほどの高温状態で行い焼入れ焼き戻しが必要、冷却剤で急冷(焼入れ)、調整し、焼入れ以下の適切な温度にした後、冷却(焼戻し)が行なわれる

材質別ばねの低温焼鈍の条件

温度と時間の目安

硬鋼(SWC)300〜350 ℃15〜20(分)
ピアノ線(SWP)300〜350
ステンレス(SUS)300〜400
りん青銅(PBW)200〜250

テンパーカラー、ブルーイング

SWPやSWCは加熱をする事によって表面にうすい酸化被膜ができおよそ250度くらいでバネに付く色がブルーに変化(見た目は黒に見える)、そのブルーをテンパーカラーと言い、これがテンパー処理又はブルーイングと呼ばれる所以です。色を指定してくる時が稀にあるのですがバネの色が目的で無く特にこの指示はすべきではありませんがブルーイングと指示してくる事がよくあり、ばね屋さんは、“テンパー”と言う言葉をよく使います。錆び対策(油、グリス等の添付)が可能であれば通常はこのテンパーカラーがSWPやSWC材使用の完成品の色になり、油、グリス等錆び対策が不可の際はメッキ等を表面に施します。

ステンレス材の素線はシルバーですが処理によってバネに黄色み掛かる事があり、これは仕入れロットにより同じ時間、同じ温度で行なってもほとんど付かない、薄く付く、あるいは濃いめに付くことがあるが酸化被膜の色の違いが特性に影響を及ぼすことはありません。


材質により全く逆の変化

注意点として以下の寸法、形状や力(つよさ)が変わる現象があげられる、従ってそれらの変位を見越して(テスト、確認して)の製造を行う必要があり、ピアノ(硬鋼)線、とステンレス材は全く逆の変わり方になる。以下は各種バネの変位が見られる寸法箇所や角度。

押しバネ引きバネトーションスプリング
D=コイル径DD
全長初張力アーム(腕)角度
  1. SWP、SWC使用で加工のバネはコイル寸法が細くなる方向へSUS材使用は反対に広がる方向へと変わる
  2. トーションスプリング(ねじりばね)も同様に変化し、それに伴いアーム角度も変わる
  3. 巻き部が密着で巻かれていると無荷重の状態であっても密着しようとする力(初張力=Pi)が存在して、このPiは低下して行く方へ通常はSWC、SWPで約25パーセント、SUSで約20パーセント程度の減少を見込む

1については例えばSWP、SWCを使用してコイル径が丁度10mmで製作された時、加熱により9.9とか9.8mmのように細くなる方へ、SUS材使用は逆に10mmでは10.1とか10.2mmのように広くなる方へ変わりその範囲が広い場合、全長も変わってしまうこともある。
トーションスプリング(ねじりばね)は例えば角度が90度の状態であるとSUS材の場合は90度以上開く方に、SWP、SWCは反対に90度以下の巻き込む方向へアーム角度が変わる。

3について高い荷重が必要な場合は低い温度か施工時間を短くするか極稀には行わない時も、この場合応力範囲は小さく取る必要がある、但しこの初張力は積極的に利用してゆくものなので指定にあうように管理するが高い力を残すとたわみの限界までの範囲はは小さく(少なく)なる。引きバネを例にすると熱処理施工と全くしていないもので同寸法である時、問題なく引張ることができる長サにかなりの差が出てしまい又圧縮用も全圧縮量内で全長の減少に問題無いたわみ量に差がでる。

以上のように各種に対し行う事による形状(各寸法)の変化と密着巻の場合は初張力の低下に対して注意、確認は重要事項です。但し、変位量は温度、時間や材質等でほぼ数値は分かっているのですが、材料の生産ロット、メーカーによって表面の皮膜や潤滑油が異なること、引張り強度、公差によってはその都度若干異なってしまう場合があり特に厳しい公差指定の製作の際は十分な考慮(Piが存在の密着巻は特に注意)が必要となります。

未施行を100として初張力の残存率

ピアノステンレス
150(℃)で15(分)88%150(℃)で15(分)94%
200   で15   77%200   で15   92%
300   で25   50%300   で25   80%

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